「ってゆうかさ……」


「んー?」


張り切って私の机に座ってノートに書き写す和也に言う。


「もうそろそろ、
学校行かないと遅刻じゃない?」


「……あっ!」


和也はささっと道具を片付けて、カバンの中に全部入れた。


「行くぞっ」


「…う…うん」


階段を駆け降りる。

リズムのいい心地よい音が
妙に今日は私の耳に響いた。


「いってらっしゃーい」


私達の足音に気付いたお母さんがリビングから話し掛ける。


「いってきます!」


横を何も言わずに行こうとする私の手を


わざわざ立ち止まって言う和也に掴まれた。


「ほら、栞も。」


「……いってきま…す」


そう言って和也より早く家を出た。