マーキスはそこでゴーレムの通信を切った。

そして気を失っている凛を慎と京介の隣に横たえ、移動術を施しはじめる。

両手を前に突き出し、空間に穴をつくる。

穴は先の見えない暗やみだ。

次に、マーキスは驚くべきことに凛と慎、京介の3人を一気に背中に背負った。

3人はマーキスよりも背が高い。

そのために、足は地面を離れず引きずられる形になった。

一方のマーキスと言えば、何食わぬ顔で背負っている。

どう見てもおかしな姿である。

そう、マーキスと同じような体型の普通の女性なら潰れているだろう。

否、持ち上げることさえ不可能だ。

マーキスは術を使っている。

背負っている3人にかかる重力を操作し、感じる重さを軽減しているのだ。

これはマーキスが編み出した術である。

そのためマーキスしか使えない。

マーキスは3人を背負ったまま、移動術へと歩きだした。