聖職者



マーキスは凛の手に、そっと自分の手を重ねた。

なかなか安定しない凛の力を補うためだ。

凛は初めての術の発動にしてはよくやったが、自身の心の弱さが仇となった。

手を重ねられた凛は、マーキスの力が注ぎ込まれてくるのを感じた。

暖かい。

何より安心する。

立ちこめていた不安が、消えていくのを感じる。

マーキスの力の色はオレンジだった。

凛はマーキスの色が好きだった。

常に優しさを感じたからだ。

ぬくもりに包まれて、凛は慎と京介を思い浮べた。

笑いあう自分達が浮かんだ。

それはより鮮明になっていく。

すると突然、凛は二人の存在を感じた。

鮮やかに浮かんでいる慎と京介の力を、すぐそばで感じたのだ。

ここから右斜め前に進むと、その力と出会える。

凛は不思議な感覚の中で、慎と京介の存在をはっきりと確認した。