聖職者


冷や汗をかくマーキスを余所に、凛は慎と京介を探すべく歩きだした。

何一つ目印は無い、つまり障害物もないので見通しは良かった。

「ちょっと、凛!まちなさい!」

マーキスがあわてて凛の後を追う。

事情を知らない他人が見れば、二人は本当に母子のようだった。

「凛!相手はBランク以上の可能性が高いわ!勝手に一人で歩き回らないで!」

「大丈夫だよ!これだけ見通しが良いんだ、魔獣が来たらすぐに分かる!」

「だからBランクよ!来てからでは遅いわ!」

マーキスが走り、凛に追い付いた。

「もう、マーキスは心配性だな」

凛が口を尖らせて言う。

「李楼に比べたらそんなでもないわよ」

「・・・そうだな」

凛はそこで閉口した。