聖職者


術の中は白一色の世界だった。

白い砂地がどこまでも続いており、地平線が360度見られる。

空も白いペンキで塗られたかのような色をしていた。

視界は至って良好、呼吸も困難でない。

だが、元はあの公園に居たと考えると、あきらかにこの世界は異常だった。


凛はぽかんとした。

「ここは?」

「さぁ?」

比べ物にならない程の戦場を経験してきたマーキスでさえ、訳が分からないという顔をしている。

「こんな世界、見たことない」

凛はぽつりと呟いた。

一方、マーキスは冷や汗をかいていた。

術の中にこれだけの世界が創られている。

相手のレベルはかなりのもの。

Bランクは必至だ。

敵がBランクだとしたら、正直凛は足手纏いになる。

はたして、凛を連れた私に勝ち目はあるの?