術に入ったとき、マーキスは少し痛みを感じた。
全身に、まるで一瞬電気が流れたかのような痛みだった。
術が自分を拒んでいる。
マーキスはそう確信した。
そして、チラリと凛を見る。
だが、凛に痛みは無かったらしい。
表情一つ変えずに術に入っていく。
マーキスは疑問を感じた。
なぜ、自分にあった痛みが凛には無かったのか。
力の差はあるが、聖職者であることに変わりはない。
少し考えてみたが、答えは分からない。
なので、この問題はすぐにしまったのだった。
後に、これが凛を悩ますことになろうとは知る由もなく。

