聖職者



「マーキス…、少しは緊張して。慎や京さん達を探すんだから…」

そう言う凛の声はだんだんと小さくなり、顔も徐々に青ざめていく。

最悪の事態を想像したのだろう。

マーキスはそんな凛を見て、今までのテンションはどこへ行ったのか、落ちついて言った。

「大丈夫、あの二人は強い。いくらCランク三体が相手でも、そう簡単に負けやしないさ」

そして、今にも泣きだしそうな凛の頭に優しく手をおく。

「うん…」

凛も頷く。

「さぁ、探しに行くよ!李楼、どうすればいいんだい?」

マーキスは自分の近くではばたいているゴーレムに向かって声をかける。

どうやらゴーレムは李楼と通信しているらしい。

ゴーレムから李楼の声がした。

「現場はルイ元帥達がいる場所からそう遠くはありません。ゴーレムから案内します」

いつもと変わらない、テノールのよく通る声だ。

「ただし、注意してください。まだ近くに魔獣がいるかもしれません」