真昼のパリ、凛達は薄暗い裏路地に立っていた。

すぐ近くにエッフェル塔が見える。

「マーキス、着いた」

凛がマーキスに言う。

その声は少し強ばっていた。

だが、返事をしたマーキスの声は凛とは裏腹に弾んでいた。

否、これは返事ではない。

返事になっていない。

「ん〜、久しぶりのパリだわ!何年ぶりかしら!」

まるで、小さい子が親に連れられて動物園へ来たかのようなテンションだ。

ただ、物心着いた頃にはすでに一人だった凛には、小さい子のテンション等分かるわけはないが。

なんとなく、思ったのだった。

一方、マーキスのテンションは上がりっぱなしで、下がることを知らない。

凛は一人騒ぐマーキスを見て、深いため息をついた。