涙のあとはあるが、凛は笑顔だった。

先程の暗い顔は嘘のようだ。

マーキスは愛しそうに凛を見ていた。

凛がおにぎりを半分食べたころ、通信班員が黒いゴーレムをもってきた。

李楼は軽く礼を言い、通信班員からゴーレムを受け取った。

「周波数はあわせてあります」

通信班員はそう言うと、マーキスに挨拶をして本部長室を退出した。

「よし、じゃあ行くよ」

「はい!」

マーキスの言葉に凛が頷く。

おにぎりは食べ終えたようだ。

「場所は分かるね?」

李楼が確認する。

「この間の任務の近くの公園でしょ?」

凛の瞳は強い意志に満ち溢れていた。

「そうだ。ルイ元帥をお連れして」

凛が頷く。

「ルイ元帥、よろしくお願いします」

「任せて」

李楼の頼みにマーキスは笑顔で頷いた。

凛が移動術を施し、空間に歪みをつくる。

「じゃあ行ってくる」

凛はそう言うと歪みに入っていった。

続いてゴーレムを連れたマーキスも入る。

李楼は消えてゆく空間の歪みを見ながら「気を付けて」と呟いた。

そして、窓から見える高い青空に皆の無事を祈った。