「ああ、班長。李楼です。至急ゴーレムを一機本部長室によこしてくれませんか?」

「わかりました。凛さんを任務に?」

快く承諾してくれた通信班長だが、声には不安が交ざっている。

「ええ。でもルイ元帥も一緒ですから大丈夫です」

「ルイ元帥ですか!」

通信班長はそれを聞き、電話の向こうで笑った。

マーキスの凛への溺愛ぶりは、本部で知らぬ者はいない程すごかった。

唯一気付かないのは凛だけだった。

「それなら心強いですね。急いでそちらにゴーレムを運ばせます」

李楼はそれを聞き、礼を述べて電話を切った。

すぐに凛が本部長室に駆け込んできた。

モノトーンの団服に身を包み、髪は高めの位置で結われている。

右手には刀をもち、左手には大きなおにぎりを持って食べていた。

「なんでおにぎり?」

李楼が尋ねる。

「朝ご飯、まだ食べてなかったんだ」

凛は「おいしい」と言いながら、おにぎりを頬張っている。