聖職者


李楼はマーキスの冗談を聞き、乾いた笑いをこぼした。

「マーキス、京さんと慎が!」

凛は泣きながらマーキスから離れようとしない。

「あぁ、今聞かせてもらったよ」

マーキスは凛の長い黒髪をそっと撫でた。

「李楼、あんたも大変だね」

「いぇ・・・」

李楼は目を伏せる。

「僕はまだ良いほうです。大変なのは聖職者たちのほうですよ。僕はただ彼らを任務に送り出すことしかしていない・・・」

李楼の顔が曇る。

「そうか・・・」

マーキスの顔も曇る。

李楼の仕事は聖職者のように戦うことはない。

だが、確実に彼らを危険にさらしている。

決して楽な仕事ではない。

そんな李楼の気持ちを知ってか知らずか、マーキスは提案をした。

「私が凛と現場にいくなら問題はないかい?」

「「え?」」

この提案には凛も驚いた。

抱きついていたマーキスを見上げる。