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彼は焦った。
本部に通じる細い裏道には来たが、ゴーレムをもっていない。
嵐はひどくなる一方である。
こんな嵐だと別の調査で出かけている探索班員も、今晩は帰ってこないだろう。
彼は強くなる嵐の中、細い裏道で別の調査の探索班員を待ち続けた。
雨が肩の傷にしみる。
意識も朦朧としてくる。
痛い・・・、寒い・・・。
そうして夜が明けた。
嵐もおさまっていた。
彼は裏道で倒れているところを、別の調査の探索班員に助けられたという。
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李楼は全て話終えて、再び凛を見た。
涙は止まったようだが、顔色はまだ悪い。
冷めつつあるミルクティーを持ったままだ。
李楼はため息をついた。
ここまでは話した。
次は対策だ。
それには、聖職者が必ず必要だ。
だが、今、本部所属で動ける聖職者は彼女しかいない。
はたして、この状態の彼女に任務を頼んでも平気だろうか?

