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そこまで話し、李楼は息をついた。
ゴーレムを忘れたことは彼にとって致命的だった、と思った。
ゴーレムがないと本部に帰れない。
本部はイタリアのヴァチカンにあるが、目に見えてあるわけではない。
力を使い、普通の者には見えないように細工されている。
高さ10メートルを越える門に、15階の巨大な石造りの建物があったら目立ってしまう。
本部が創設された当時から、力によって目に見えないようになっていた。
そのため、本部に入るときは鍵となるゴーレムが必要になる。
ひと気のない細い裏道の、あるマンホールの上でゴーレムに指紋認識させると自動的に本部の門の前に連れていってくれるのだ。
もちろん、聖職者は力が使えるのだからゴーレムがなくても本部に帰れる。

