聖職者


男が倒れていた場所には、おびただしい量の血痕が残されていた。

李楼はそれを見つている。

表情は暗い。

「彼は、なんて言ってた?」

凛は震える声で李楼に聞いた。

李楼は何も答えず凛を見つめる。

その瞳は悲しげで、見る者の心を痛ませるものだった。

そして、李楼は静かに首を横に振る。

「え?」

凛の頭の中に、最悪の事態がよぎった。

涙が溢れてくる。

先程とは量が違う。

「・・・とにかく、今はまず話をしよう」

李楼が重い口を開く。

「行動はそれからとっても、結果は変わりはしない」

凛の頭が真っ白になる。

「本部長室に戻ろう」

李楼が崩れそうな凛の肩を支え、2人はエレベーターへと足を運んだ。