聖職者


今、1階には凛と李楼と団員、医療班長と数人の医療班員しかいない。

凛は静かに倒れている男に近寄った。

「おい!本部長がきてくれたぞ!」

団員は涙声になりながら、倒れている男に声を掛ける。

どうやらこの2人、親しいようだ。

「またせてすまないね」

李楼が軽く謝罪する。

「・・っ、・・!」

倒れている男も泣いていた。

泣きながら何かを訴えようとしている。

だが、声がうまく出せない。

凛はその姿を見て、ひどく心が痛んだ。

李楼は男の声を聞き取ろうと、耳を近付けた。

男が発する微かな声を、渋い表情で聞いている。

「そうか・・・」

聞き終えたとき、李楼はそう呟いた。

男は微かに頷き、がくっと首を落とした。

男は動かない。

顔色は最悪だ。

「おい!!しっかりしろぉ!!」

男の隣で団員が泣き叫ぶ。

皮肉にも丁度、担架が到着した。

「担架早く!まだ間に合うかも知れません!」

医療班長が叫ぶ。

男は担架に乗せられ、泣き叫ぶ団員と医療班長、医療班員と共に1階から姿を消した。