本部長室は11階にある。
普段はあまり感じない1階までのエレベーターが、今に限ってひどく長く感じられる。
「昨夜の探索班員、とても深い傷を負ってるんです。でも、「急いで本部長に」と繰り返すので呼びにきました」
先程駆け込んできた団員が、エレベーター内で李楼に報告する。
「今は1階で医療班による手当てを受けてると思います」
「そうか、僕を呼んでくれてありがとう」
李楼は緊張した声音で団員に礼を述べる。
「それで、その彼は一人で帰ってきたのか?」
その問いを聞いて、凛はドキリとした。
凛が一番気になっていたこと・・・。
そんな凛の気持ちが伝わったのか、通信班の班長がそっと凛の肩に手を添えた。
「はい、一人でした」
団員は一瞬躊躇って、そう答えた。
凛は身体の中心に重く、冷たい岩を落とされた気がした。
その時、エレベーターが1階に着いた。

