……


凛は荒れ果てた大地に立っている。

周りには何もない。

懐かしさと共に、なぜか悲しさも覚える。

「香奈」

「なあに?」

凛は返事をする。

「香奈、すまない。俺はもう行かなければならない、香奈を残して…」

「大丈夫、私はあなたを待ってるわ」

凛はそっと相手を抱き締めた。

「だが、いつ戻ってくるかわからない」

「大丈夫よ、だから泣かないで。あなたが泣くと私まで泣きたくなるんだから」

クスリと凛は笑う。

「そうか・・・」

それにつられたかのように、相手も笑った。

とたんに、自分が抱き締めていた人物が銀色の光を帯びた。

すぅっと薄くなっていく。

キラキラとした光はやがて人物の形を留めなくなり、天高く消えていった。