凛は急に疲れが増えた気がして、ベッドに身を投げ出した。
目には石造りの天井しか写らない。
目を横にやると、小さな置物が目に入る。
一見、砂時計のようだ。
だが、上から下に落ち続ける砂は一向に量が減らず、凛が知るかぎり永遠に砂が流れ続けている。
砂時計に力で細工をし、凛がこうしたのだ。
普段、あまり物を欲しがらない凛がめずらしく欲しがった物だ。
このきっかけも夢にあった。
香奈と呼ばれる夢を見る前、凛は毎晩砂時計の夢を見ていた。
暗闇の中に、10メートルはあろう、光輝く巨大な砂時計がある。
凛はその前に立っている。
毎晩、その砂時計の減らない砂を眺めている。
ただそれだけなのに、なぜかとても心が落ち着いた。
その安心感が日常にも欲しくて、この砂時計を所望したのだった。
ふぅ、と息をつくと睡魔が襲ってくる。
凛の意識は闇に落ちていった。

