「あれ、凛さんじゃないですか?」

凛は後ろから誰かに声を掛けられた。

凛は思わず振りかえる。

凛の瞳が声を掛けた人物をとらえた瞬間、凛に異変が起きた。

「あっ!京さん!」

瞳の色、声の色が変わる。

急に女性らしさを醸し出す。

彼の名は京介【キョウスケ】、年は17歳。

慎と同い年だ。

京【キョウ】のあだ名で皆から慕われている、兄貴分のような存在でもある。

誰に対しても優しく、人気があった。

彼もまた、神に見入られし者であった。

聖職者なのだ。

「京さん、どうしたんですか?京さんも食事を?」

「はい、僕もこれからご飯を食べようかと思ってるんです。よかったら一緒に食事をとりませんか?」

「本当に?うれしいわ、ぜひご一緒させてください!」

凛のテンションはあがる一方だ。

こうなった凛を、誰も止めることはできない。

慎はため息を吐いた。