慎と李楼がぎゃーぎゃー言っている間に、凛は一人考え込んでいた。
「(なぜ“神は邪悪”なんだ?)」
人間の間でも神は崇拝されている。
神が邪悪だという考えは、今まで聞いたことが無かった。
そもそも聖職者は“神に選ばれし者”であって、神ではない。
かつて、神はこの世界に存在した。
神は孤独のあまり、楽園にて初めての人間、アダムとイヴを創り出した。
しかし、二人が知恵の実を食べたことを知り地上に追放する。
楽園で再び孤独となってしまった神は、寂しさのあまりたびたび地上に降りてきていた。
今でもそれは変わらず、数年に一度地上に降りているらしい。
このことは人間も知っている、周知の事実だ。
神が憎いのなら、彼を捜し出し直接危害を与えればよい。
聖職者に恨みでもあるのか?
聖職者を狙った理由は何だ?

