聖職者


「彼は香奈を殺し、凛を連れて僕の元へ帰ってくるはずだった。彼は最高傑作でしたからね、失敗などないだろうと高をくくっていました」

リョウは鼻で笑い飛ばす。

「だが、彼は帰ってこないどころか凛も貴方に連れて行かれた。いや、いなくなった凛を探すのは大変でした。まさか貴方が連れて行ったとは思ってもいませんでしたからね」

「なぜその人間が死んだと分かる?」

「気配ですよ。彼を作るのに僕の力も使われているんです。つまり、僕の分身的存在だ。消えたのはすぐに分かりました」

リョウは凛の高めに結わえた髪止めをとった。

凛の長い髪が落ちて肩にかかる。

だが、凛は何の反応も示さない。

それは、今の凛の中には香奈の意識があるからなのだろうか。

「なぜ凛に母親の記憶があるんだ?」