聖職者


「何十人、いや、何百人の子供たちが命を落とした」

「……」

「だがある時、一人の子供が成し遂げた。何億分の確立でね、まさに奇跡だよ」

リョウは自嘲気味に笑った。

「…それがお前」

マーキスが口を開く。

「そうですよ」

リョウは意味あり気な微笑を浮かべる。

「ねぇ、ヴォルドールさん?」

ヴォルドールは反応できなかった。

息をするのも困難なほどの殺気がリョウから放たれていたからだ。

リョウは凛から離れると、さらに数歩ヴォルドールに近づく。

それとは対照的にヴォルドールは数歩あとずさる。

「僕を覚えてます?」

「…忘れるはずがあるまい」

「よかった。忘れられてたらどうしようかと思った」

自分の人生の中で一番の成功がこのリョウなのだ、忘れるはずがない。

だが、もしも忘れていたら、自分はリョウにどんな風に扱われていたのだろう。