時代は20年以上さかのぼる。
「当時、貴方はある研究をしていた。聖職者を作り出す実験だ。騎士団の職につく前ですよね?」
「……」
ヴォルドールは答えない。
「人間の子供に、聖職者の細胞を埋め込んで力を使えるようにする。そんなこと、うまく行くはずが無い」
そう、人間から聖職者を作り出すなど不可能だった。
外見上は何ら違いが無い聖職者と人間。
唯一違うのは力が使えるかどうかということ。
だが、力を使うために細胞も僅かながら違っているのだ。
聖職者の細胞は人間のそれより、しなやかでバネのように伸びがある。
だから大きな力を使っても体に大した負担がかからない。
逆に言わせれば、細胞がしなやかな程使える力は大きくなる。
それが、凛とリョウであった。
神の力を使うのだから、細胞も極限にしなやかである。

