聖職者


「嫌あぁ!!」

凛は思い切りヴォルドールを突き飛ばし、勢い良く立ち上がり彼から離れた。

その位置は、リョウ達とマーキスの間になっていた。

「凛!前に出るな!」

マーキスは叫んだが、凛の耳には届いていないようだ。

そのまま、ヴォルドールからふらふらと離れ、さらにはマーキス、李楼、ラスフォードからも離れ、リョウ達に近づいていく。

そして、凛の肩がリョウの胸にあたる。

リョウは凛の背中から優しく手をまわして、そっと抱き締めた。

精神が正常な凛なら、何者かが後ろから抱き締めることなど許さないだろう。

即、半殺しにする。

その上、今はリョウが抱き締めているのだ。

普段の凛なら有無を言わさず彼を殺しにかかっている。

だが、今は違う。