聖職者


「…わかりました。リョウ様の仰せのままに…」

「わかってくれて嬉しいよ、ラルツォーネ」

ラルツォーネは仕方なく引き下がった。

だが、目は今だに凛を鋭く睨み付けている。

凛も負けじと睨み返した。

ちょうどその時であった。

凛の右前方の茂みが、ガサガサとかなりの音を立てて揺れた。

何かがいる。

凛はさっと視線をめぐらせた。

一方のリョウはと言うと、まるでその何かの正体を知っているかのように余裕の表情を見せ、音を立てる茂みを振り向きもしなかった。

「凛っ!!」

とたん、茂みから勢い良くマーキスが飛び出してきた。

「マーキスっ?!」

マーキスは物凄い速さで凛に近づくと、体の正面をリョウ達に向け、凛を庇うように戦闘態勢をとる。