聖職者


当たっている…

どくん、と心臓が一度大きく打ったのを凛は感じた。

同時に、こいつには絶対勝てないと感じた。

「だから、僕らは戦わないって」

リョウは朗らかに言う。

「(また読まれた…)」

「ごめんね、人の心が読めちゃって」

「………」

今の凛にとって、何も語らず、何も考えずにいるのは無理難題であった。

リョウは凛の素直すぎる反応に気を良くしたのか、にこにこと凛の様子を見ている。

「リョウ様、まずは彼女に例の話をしましょう。外部から数人、人が近づいています」

リョウの後ろに並ぶ男の一人が言った。

「力の大きさからして、人間が三人。それと聖職者が一人、ルイ・マーキスだと思われます」

「ん?これはまた意外なお客さまだな」

リョウはヒロ、と男の名を呼び、軽く礼を言った。

ヒロ、と名を呼ばれた男は深々と頭を下げる。