聖職者


「っ!なんだと?!」

女の言葉は凛を挑発するのには、十分だったようだ。

「まぁまぁ、ラルツォーネ。あまり凛を怒らせないでよ」

八人より一歩前に立つ青年が言った。

ラルツォーネと呼ばれた女は直ぐ様謝る。

「申し訳ありません、リョウ様」

リョウと呼ばれた青年はラルツォーネの謝罪を素直に受け取る。

「さて、凛。今日僕達は戦いに来たんじゃないんだ。そんなに睨まないでくれよ」

リョウが凛に向かって言う。

だが、凛は言葉を返さず、黙ってリョウを見据える。

「(…この男、隙がない。何者なんだ?)」

凛はそう思った。

そう、凛はリョウについての一切を知らされていなかった。

「何者って言われてもなぁ。僕はリョウ・カルトマスって言うんだ。よろしく」