聖職者


その状況をうまく飲み込めない凛だったが、後ろの八人の中に知っている人物を見かけた。

「っ!!お前!!」

「はぁ〜い、凛♪」

その人物はひらひらと手を振り、可愛らしく微笑んだ。

人物、それはレイであった。

凛はぎりっと歯を食い縛り、レイを睨み付ける。

慎と京さんを殺った本人。

彼に復讐を果たすためだけに、今日まで生きてきた。

凛は刀の柄に手を添え、姿勢を低く構える。

とたんに、凛の体から殺気が立ちこめた。

普通の人間なら、そのあまりの強さに怯み、中には気を可笑しくさせる者もいるかもしれない。

だが、彼らは違った。

誰一人として怯む者などいなかった。

「へぇ、まだこんなもんか」

後ろに並ぶ八人の中の一人の女が言った。

「その程度の殺気しかだせないの?」