一方の凛は、狼に連れられ歩いていた。
異様に盛り上がった地面、垂れ下がっているつるや枝、それらを避けながら歩くのは、かなりの疲労を感じた。
だが、凛はそれを見せないように振る舞った。
だが、狼達には苦しそうな様子はない。
まあ、彼らは普段から森で暮らしているため当たり前のことでもあるが。
そんなことを考えながら歩いていると、突如先頭にいた狼が後ろの凛の方向に振り向いた。
足元ばかり気にして歩いていた凛は、不意に顔を上げる。
そして、驚いた。
なぜなら、凛の目の前に広がる地面の一部だけが平らだったからだ。
さほど広くはなく、直径は20メートル程のきれいな円形をしたその場所だけ、木が植わっておらず、芝生があった。
陽の光が入らず鬱蒼としていた森も、そこだけは陽の光がさんさんと注ぎ、暖かな日溜まりができていた。

