凛は白と黒の聖職者のコートの前をかき合わせると、目を閉じ、集中力を高める。
森の中も力が使えないためいつも程うまくはいかないが、人間に比べたらまだましだった。
それで周りの気配を探る。
だが、周りに何の気配も感じない。
凛は大きなため息を一つつくと、どこにいるか分からない狼と森の主を探してさらに森の奥へと足を進めた。
そんな凛の様子を、かなりの遠巻きに見ている狼が一匹いた。
やはり力が使えないというせいか、凛はこの狼の気配を捕らえられずにいたようだ。
狼は凛が森の奥へと足を進めるのを確認すると、きびすを返し、足早にその場をさって行った。

