聖職者


森の主が力を使う?

だが、奇怪な力を使えるのは世界中に聖職者しかいなかった。

それも、銀の光、つまり、神の力だなんて。

その男が見間違えたのか?

「その森の主を射ぬいた男は今はどこに?」

「そいつなら死んだよ。まっさきに狼に食われちまった」

手がかり無しか…

謎が多すぎて、真相の予測も立てられない。

こうなったら森の主を捕らえるしかない。

もし、森の主が力を使えるなら射ぬかれた程度では死なないはずだ。

自らを治療することが可能だからだ。

凛は早々に女性に礼を言うと、足早に森へ向かった。

そのため、女性が最後に見せた表情に気付かなかった。

背筋を凍らせる笑い方、ニタァと笑い、まるで思い通りの方向に物事が進んで満足気にしている彼女を。