「(これは、後で李楼に言わないとな)」
凛はそう心に決めた。
これから、凛は正しい情報を自分で集めなければならない。
まずは何か知っていそうな、目の前にいる女性に尋ねることにした。
「森の主って何ですか?」
「昔からこの辺に伝わる話だよ。あの森には狂暴な狼達が住み着いていてね、みんな困ってたんだと。だけど、ある時森の主が現われて、狼達に人間に手を出さないように言ってくださった。それから狼達は悪さをしなくなったのさ」
女性は半ば誇らしげに語る。
凛は聞いて呆れた。
地方では、あまりにもお伽話の迷信が真面目に信じられていることが多い。
その時の凛は、これもきっとその一つだろう、と思った。

