「西欧研まで、あとどれ位かかりそうかな?」
李楼が操縦士に尋ねる。
「かなり飛ばしてはいますが一時間はかかります」
「そうか。ありがとう。急な手配なのにヘリを飛ばしてもらって、悪かったね」
「いえ、とんでもありません!李楼本部長のお役に立てるのなら光栄です!」
操縦士は誇らしげに言った。
李楼は照れたように笑い、再び礼を言う。
「凛さんもあの森に行くのに時間が掛かるはずです。きっと大丈夫です」
ラスホォードがマーキスを勇気づけるように言った。
だが、今のマーキスの耳に届くはずもなく、空の虚しい返事しか返ってこない。
その気まずい雰囲気の中でヴォルドールと目が合い、ラスホォードは仕方なく、乾いた笑いをこぼした。