聖職者


「あの森までは追えたのだ。だが、それ以上は追えなかった」

ふう、と息をついたヴォルドール。

「で、それと凛の任務と何の関係が?」

すかさずマーキスが尋ねる。

先程から話しっぱなしで休ませないマーキスに恨めしい視線を送り、ヴォルドールは仕方なく話し始めた。

「私がここを追われてからの数年、何もしていなかったと思うかい?」

「あら、そうじゃないの?」

マーキスは冷たく言い返す。

その声音には極限に嫌味が含まれていた。

さすがのヴォルドールも、これには乾いた笑いを漏らす。

「何かなされていたんですか?」

なぜかヴォルドールに同情の意を持った李楼が尋ねる。

「もちろんだとも、李楼君。力の研究とリョウの追跡だよ」

ヴォルドールはそう言うと、心なしか胸を張ったように見せた。