「それから私はリョウに手を出していない」
ヴォルドールが言った。
「何せ、リョウを始末するには騎士団総出でなければならないからね。リョウもこちらに手を出してこなかった」
「それで凛を?」
李楼がマーキスの顔を伺いながらヴォルドールに尋ねた。
「そうだとも。丁度生活班から彼女の力が銀だと報告があったのでね。まさかと思ったが、間違いではなかった」
その言葉に、半ば誇らしげに語るヴォルドールとは対照的に、マーキスの表情は曇る。
「彼女の力を研究すれば、リョウに適う聖職者が誕生するかもしれないと思ったのだよ」
「…それで、お望みの結果は得られたのかしら?」
「いいや、いかなる実験をしても彼女の力は強くならなかった。その内に研究は打ち切りになってしまったがね」
「当然よ」
ぴしゃりとマーキスが言い放つ。

