聖職者


「………」

ヴォルドールは黙り込んだ。

時折口は開くが、言葉が出てこない。

しばらく沈黙が流れる。

その重苦しい空気を破ったのは、以外にもマーキスだった。

「ヴォルドール、あなたは何か隠しているんじゃない?」

ヴォルドールは静かにマーキスを見つめ返す。

「騎士団にも言っていない、大きな秘密を」

マーキスは挑戦的に言い放った。

李楼、ラスホォードはマーキスが次に何を言いたいのか、すぐに分かった。

マーキスは、ラスホォードが神が力を使うところを見たのでは、と疑っているのだ。

それに加え、リョウ・ラルトマスの件も。

特に、リョウ・ラルトマスの件については確実にヴォルドールは何かを隠している、という自信がマーキスにはあった。

探索チームが行方不明になったと言うのに、ヴォルドールは彼らを探そうとはしなかったのだ。