李楼は咳き込んで顔を真っ赤にしている凛に言った。

「怪我をしてないならよかった。もし怪我をしても騎士団の医療班は最高だからね、どんな傷でも治してくれるさ」

全てを見透かした様な李楼の瞳に見つめられ、凛は萎縮する。

それを見兼ねた慎が助け船を出した。

「ところで、どうして凛を呼び出したのさ?」

凛は助け船に心の中で感謝した。

しかし次の言葉を聞いて、その感謝も消し飛んだ。

「俺が邪魔だったら消えるけど?」

慎は悪気があって言ったわけではない。

ただ、今この空気で李楼と二人にしないで欲しい。

一方慎の言葉を聞いた李楼は、いつもはヘラヘラした顔を引き締めた。

「いや、慎もここにいてくれるかい?」

「俺も?」

「うん、そうだ。君と凛に話さなければならないことがある。」

そこで李楼は一度咳払いをした。

「実は・・・」

とても言いにくいことの様だ。

「先日、元帥の一人が殺されました」