自分の座高はありそうな程積まれた資料を両腕に抱え、マーキスは本部長室に着いた。
だが、両手が塞がっていて扉を開けるどころかノックもできない。
マーキスは困った。
周りを見渡しても扉を開ける様、頼める人がいない。
仕方なく、マーキスは扉の前で叫んだ。
「李楼〜〜っ!!」
すると少しして扉が開き、ラスホォードが出てきた。
ラスホォードはマーキスを見た瞬間、顔をぎょっとさせた。
「うわっ!!」
マーキスは資料を抱えているため腰から目の下辺りまで身体は本に隠れ、唯一見える目は軽く血走り、色濃いクマができているのだ。
それに加え、自分の顔を見て声を上げたラスホォードに不快を示し、目が据わっている。

