だが、当然のことながら「騎士団本部記録」は一冊ではない。
無論、十冊でも百冊でもない。
もっとあった。
この本は一年に一冊書かれている。
一日1ページ、一冊365ページの割合だ。
これが、遥か昔の騎士団創設時から今までに渡り書かれ続けている。
「…これ、全部見るの?」
天井まで届く辺り一面の本棚にびっしり埋まったその記録書を見て、マーキスは言葉を無くした。
今日、資料を探した、と言ってもマーキスは深夜から資料を探していた。
深夜から今の昼間に掛けて、マーキスは資料をぶっ通しで探し続けていたのだ。
もちろん寝ていない。
目の下には日頃の任務疲れとこの作業で、二度と取れなさそうな濃いクマができていた。
それが、より老けてマーキスを見せていた。

