聖職者


そして、何よりレイと遭遇できないことが不満だった。

凛の方からレイと会う手段はない。

レイの方から会いに来なければ復讐ができない状況にあった。

凛の不満は極度のものになっていた。

そのままベッドに横になる。

そして、両手で顔を埋めた。

目を閉じれば、慎と京介の笑顔が浮かぶ。

二人に会いたい。

会って、前のように楽しい時間を過ごしたい。

だが、それはもう叶わない望み。

焦燥だけが凛を追い立てる。

「…ちくしょう」

凛の口から思わず言葉がもれる。

その夜、凛は声を押し殺しながら人知れず泣いた。