「本部長、私に何か用ですか?」

凛は呼び出されたことに少し怒りを込めて李楼に問う。

凛の中では、呼び出される回数が多いほどまだ半人前である、という認識があった。

それでなくとも、何故慎を私の任務に同行させたのか。

「それより、先に報告をしてくれるかな?」

朗らかに李楼が言う。

「おう」

慎が報告を始める。

「特に問題は無かったぜ。相手はDランク、だけどまだ成りたてだったな。俺は怪我はなし!でも凛は「私も怪我はなし!!」」

凛は慎の言葉にあわてて付け加えた。

自分がたかが成りたてのDランクに、押さえ付けられてやられそうになったなんて言われたくなかった。

自分は早く一人前に成りたい。

半人前だと思われたくない。

そんな思いが凛の心のどこかにあった。

しかし、凛はあせって喋ったためか、むせて咳き込んでしまった。

慎はそんな凛の姿を見て、チラリと李楼に目配せをする。

李楼は全てを見通したかのように微笑んだ。