聖職者


「つまり、凛さんには強大な力を溜めておける器がある。その器の大きさは自分の持っている力と同じ大きさだから、ということですね」

ラスホォードが納得したように言った。

「ご明察。凛が二週間もバチルスタミス剤を投与されたって事は、簡単計算で通常の450万倍の力が溜められた。さすがにヴォルドールも危険を感じて投与を止めたみたいだけど」

「450万倍……、すごい」

ラスホォードが呟く。

「もちろん、今の凛にそんな力はないよ。あったら修業を見ていればすぐに分かるからね。となると、凛の中には通常の450万倍の力が眠っている」

マーキスは勝ち誇ったように資料を閉じた。

「何らかが原因で封印されているのでは?」

李楼が尋ねる。

「うん、それしかありえないね。凛を拾ったのはまだ赤ちゃんの時だから、それより前に凛に何かがあった」