聖職者


「この薬は健康な聖職者には投薬してはいけません。通常の三倍の力になるということは、体が耐え切れず破裂する場合があるからです」

「そう、健康な聖職者には投薬してはならない」

ラスホォードの説明をマーキスが強調する。

「この時の凛の健康状態は良好だった」

「?!それならっ!!」

李楼が慌てる。

破裂してしまう、と言いたいのだろう。

「しかし、凛に反応はないとこのデータには書いてある。二週間もバチルスタミス剤を投与し続けて、だ。現に、凛は破裂しないで生きているし」

マーキスはそう言うと、すべてを見通したかのような笑みを浮かべた。

「!!そうかっ!!」

ラスホォード、李楼が共に閃いたような顔をした。

「健康な聖職者がバチルスタミス剤を投与すると破裂するのは、体の中に力を溜め切れなくなるから。だけど、凛には溜め切れる器があったんだ」