聖職者


本部長室につくと、李楼はさっそくミルクティーを入れにかかる。

マーキスとラスホォードはソファに腰掛けた。

相変わらず本部長室には書類が散乱している。

ほとんどが未処理ではないのか、大丈夫なのか?とマーキスは思った。

だが、李楼がミルクティーを持ってくると、三人の意識はマーキスが手にするファイルに集中する。

「さて…」

マーキスは一冊目のファイル以外を自分の左に置き、残されたファイルを開いた。

『ヴォルドールの元、この研究を許可する』

一ページ目には、ヴォルドールの直筆だろうか、達筆なサインがなされていた。

マーキスは苦々しげにそのサインを見る。

「まさか、これを読む日がくるなんてね…」

李楼もラスホォードも無言だった。