聖職者


そこじゃないだろ、とマーキスは心の中でつっこむ。

李楼は二人に待つように言うと、もはや柱と化した本棚の隙間を縫うように器用に進んでいった。

少しすると、手に数冊のファイルを持って戻ってくる。

「これが例の資料です」

黒い表紙に紐で綴られたものが4冊。

表紙には「聖職者の異色の力について」と書かれていた。

「ここじゃ狭い、本部長室に行きましょう」

「持ち出しOKなの?」

このファイルには赤で思いっきり「持出厳禁」と書かれている。

「私が許可します」

李楼は胸を張っていい、資料室を出ていく。

本当に大丈夫なのか、とマーキスとラスホォードは思った。