すると今度はカビ臭いような、埃臭いような匂いがした。
目の前には威圧感のある本棚が所狭しと、まるで柱のように立ちそびえていた。
その為か、人間の通れる隙間が狭く、横歩きでなければ通れない。
そのあまりの窮屈さと匂いに、マーキスは盛大なため息をついた。
「…李楼。これ何とかなんないの?」
「無茶を言わないでください。地下二階は匂いがきつくて使えたもんじゃないんですから」
「地下二階はまだそんなに匂いが残っているんですか…」
ラスホォードが呟く。
「ひどいもんです。今、科学班が全力を挙げて強力な消臭剤を作っています」
「…科学班はそんなものまで作ってるの」
「普通の消臭剤じゃ効かないんですよ」

