聖職者


「?!見るんですか?」

李楼はありえない、と言う顔をしてマーキスに振り向く。

ラスホォードも驚いていた。

マーキスのヴォルドールへの恨みは騎士団内ではかなり有名だったのだ。

それも、諸悪の根源である資料を見たいとマーキスは言った。

「…ちょっとね、気になることがあってね」

「…わかりました。地下の資料室に保管してあります。鍵はこちらです」

そう言ってマーキスに鍵を渡す。

李楼は常に鍵束を持っている。

これは本部長としての安全管理の一貫なのだ。

「ありがと」

マーキスは鍵を受け取ると右ポケットにしまった。

「何が気になるんですか?」

ラスホォードが尋ねる。

「…凛の修業を見ていたとき、たまに大きなエネルギーを凛から感じるのよね」