聖職者


“復讐”か…

マーキスの脳裏にそんな言葉がよぎる。

しかし、方法が無い。

凛のほうからレイ達に会いに行く方法が無い。

向こうが偶然にも会いに来てくれなければ、復讐はできない。

それに、今の凛の力では勝てない。

それは凛も十分承知しているだろう。

慎と京が勝てなかった相手に、凛が勝てるはずが無い。

さらに、マーキスはこう思っていた。

凛はレイに会っても、向こうが言わないかぎり子供がレイだとは分からないだろう。

そう、マーキスは凛から、凛がレイと会ったことがあると聞いていないのだ。

「(少なくとも、今夜は動かないな)」

マーキスは少し安心したように息を吐き、新たにウォッカのボトルに手を掛けた。