「……っ」
マーキス、ラスホォードの視線が李楼に集まる。
李楼は何かしら対策を立てなければならない。
当然ながら、このまま魔獣を騎士団内に野さばらせておいていいはずがない。
だが、むやみに手出しができない。
この騎士団本部には700人以上がいる。
こちらが魔獣の存在に気付き、影で探そうとしてもかならずばれるだろう。
今、ここで魔獣ではないと証明できたのはマーキス、ラスホォード、李楼、そして凛だけなのだ。
つまり、それ以外の人間には知られてはいけない。
その人間の中に、ラスホォードをのぞく班長達もいるのだ。
一般団員だけならともかく、班長にまでばれないように事を進めるのは不可能だった。
班長達にも疑いがあるのだ。
もしこちらの動きがばれたら、魔獣がどんな行動に出るか分からない。
700人以上の団員を人質に取られていると言っても可笑しくないような状況になってしまったのだ。

