聖職者


訳が分からないと心中で混乱するラスホォードを察したのか、マーキスは説明を始める。

「ついさっきまで、誰かが玄関の扉の外にいた」

「え?」

「この部屋の会話を盗み聞きしていた」

「っ!!」
「なっ?!」

ラスホォードの驚きと李楼の声がかぶる。

李楼は椅子から駆け出し、急いで玄関の扉を開けた。

だが、そこには誰もいなかった。

「一体どういうことなんです?」

李楼は玄関から戻り、再び椅子に腰を下ろす。

「さぁね、それは分かんない」

マーキスは大きなため息を一つ吐いた。

「わかるのは、誰かがこの部屋の会話を盗み聞きしていたこと。そして、そいつは何かしらの術を使い、気配が消せる」

「?!それって…」

ラスホォードは驚いてマーキスを見る。